履歴

これまで行ってきた研究内容の要旨

塩﨑 悠輝

① 国際基督教大学教養学部人文科学科(1996年4月‐2000年6月)

卒業後、マレーシア等でイスラームの基礎を学ぶトレーニング・プログラムに参加。

② マレーシア国際イスラーム大学啓示人文学部修士課程(2002年10月‐2005年7月)

修士課程では、イスラームの神学、法学を学ぶとともにマレーシアの政治に関してフィールドワークを行いました。近代イスラーム世界、とりわけ東南アジアにおける近代国家とイスラームの関係を対象とした研究を行い、より具体的には政治および国家制度、行政とイスラーム政治思想の関係を主な研究対象としてきました。近代ムスリム社会におけるイスラームに基づく政治社会思想及び社会集団について、公共圏の形成におけるイスラーム主義活動の役割を分析することを通して研究しました。その成果は、Journal of the Interdisciplinary Study of Monotheistic Religionsに発表されたFormation of Public Spheres and Islamist Movements in Malay Muslim Society of Malaysia にまとめられています。

③ 同志社大学神学研究科博士課程(後期課程)歴史神学専攻(2006年4月‐2011年3月)

修士課程での研究を通して、イスラーム主義勢力がその主張を発信し、行政において実現していくのにウラマーのネットワークが鍵となる役割を果たしていることを認識し、ウラマーが近代社会において果たす政治的・社会的役割を博士後期課程以降の主要な研究課題としました。修士課程と合わせて8年間に渡ってフィールドワークを行い、現地の研究者、宗教関係者、政府関係者、イスラーム主義運動関係者らの間にネットワークを築くと共に、当事者への聞き取り調査、現代マレー語資料及びジャウィ文献といった一次資料の収集・読解を行いました。英語、マレー語に加え、アラビア語を用いて中東に関するイスラーム研究及び一次資料を参照した研究を行いました。この研究の主要な成果として、Amsterdam University Pressから出版されたThe State and Ulama in Contemporary Malaysiaがあります。

また、イスラームの政治・社会的影響について論じるために、イスラーム主義に関して研究すると同時にマレーシアの政治制度、行政機構、政党政治等に関する政治学的研究も継続して行いました。その成果は、山本博之編『JAMS Discussion Paper 1 「民族の政治」は終わったのか?2008年マレーシア総選挙の現地報告と分析』に発表された「マレーシア・イスラーム党(PAS)の新路線と第12回マレーシア総選挙」 等に見られます。20世紀初め以来のウラマーの東南アジアと中東の間の往来とマレーシア政治への影響に関して、JICA(国際協力機構)研究所による研究プロジェクトにおいて発表を続けてきており、その成果はMartin van Bruinessen、Syed Farid Al-Attas、Suzaina Kadir、Chaiwat Satha-Anand、Omar Farouk、見市健らとの共著として2012年に出版予定です。

同時期に同志社大学21世紀COEプログラム「一神教の学際的研究文明の共存と安全保障の視点から」共同研究員として、宗教間関係の諸問題、多民族社会における多民族・多宗教の共存に関する研究も行ってきました。

④ 外務省在マレーシア日本国大使館専門調査員(2007年1月‐2009年12月)

⑤ 日本学術振興会特別研究員(DC2)(2010年4月‐2011年3月)

博士論文を完成させ、研究成果を『イスラム世界』 に発表しました。

⑥ 同志社大学神学部特別任用助教(任期付)(2011年4月‐2014年3月)

 

⑦ 日本学術振興会特別研究員(PD)(2014年4月‐現在)

現在、東南アジアのウラマーがいかにして中東から伝来したイスラーム法学を継承・発展させながら近代国家という新しい存在に対峙してきたかを主要な研究テーマとしています。

イスラームと近代国家の関係を研究するに際しては、政府に反映されているイスラーム的要素を検証するだけではなく、在野のイスラーム活動におけるイスラーム法学の受容と発展、特にウラマーの活動についても研究しなければ、イスラーム行政等において国家がとってきた対応の意味も理解できません。また、マレーシアのファトワー管理制度を研究することを通して、東南アジアにおけるイスラーム法学の重要性は権力関係等のムスリム社会のより深い背景を踏まえねば明らかにできないことを理解しました。さらに、東南アジアにおけるイスラーム法学を理解するためには、中東、南アジアとの間でのウラマーのネットワークを研究することが不可欠です。今後の研究は、これらの課題をファトワー等の資料の収集・分析と現地でのフィールドワークを通して研究し、これまでの研究成果を発展させるものとなります。

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